木造住宅を作っているハウスメーカーの営業さんは『木造住宅は火事に強いんです!』なんて言いませんでしたか?普通に考えれば木造って燃えそうなイメージありますよね。
冬の寒い日、暖炉に薪をくべるシーンなんかを思い出すと、木はよく燃えるイメージです。それに比べて鉄は火がつかないので火事なんかが起きても燃え広がることがなさそうに思ってしまいます。
ところがハウスメーカーの営業さんは『実は…火災が起きた時に消防士が入りたくない家って鉄骨の家なんですよ…』なんて言うんですよね。木造住宅の営業さんの営業トークなのでしょうけど。
今回はわたしなりに鉄骨より木造のほうが火事に強い!ということを調査した内容をまとめます。
目次
木造の家は燃えにくい
木造の家は燃えにくい、ハウスメーカーの営業さんはそう言うのですが、それは本当なのでしょうか?その理由が以下のものです。
燃えるのは表面だけ
木が火にさらされた時、燃えるのは表面だけなのだそうです。表面だけが燃えて『炭化層』というものを作ります。炭化層とは、燃えて炭となった層のことです。
あれ、ちょっと待って下さい?そういえば炭とか木炭ってよく燃えますよね?表面が炭化したら結局燃えてしまうのではないでしょうか?
実は炭化することと木炭は別物なんですよね。木炭を作るには木を燃やして炭にするのではなく、木を蒸し焼きにすることで木炭になるんです。
一度ついた火は酸素と炭素が結合することでどんどん燃えますが、蒸し焼きにすると火がついているわけではないため、酸素と炭素が結合することがなく、木の中の水分だけが抜けて炭素のかたまりになるんです。
炭化することで燃えづらくなる
結論を言ってしまうと木は燃えます。燃えますが表面から燃えていきます。燃えた表面は炭化することで燃えづらくなり、内部のほうまで燃えるには時間がかかるのです。
つまり木造住宅は燃えないわけではなく、燃え尽きるまでに時間がかかるということですね。
鉄は火に弱いのか?
それでは、燃えない鉄はどうなのでしょうか?燃えないというだけでなんだか火事には強そうには思えるのですが…。
高温にさらされることで強度が著しく低下する
鉄は長時間高熱にさらされることで著しく強度が低下するようです。ある一定の温度を超えるとぐにゃりと曲がる、メルトダウンの状態に陥ります。
メルトダウンと言えば、福島原発でもありましたよね。核燃料が高温になりすぎて溶けてしまい、さらに格納容器にすら穴を開けてしまった。あれと似たような状態と思ってもらえばよいでしょう。
強度が低下し、崩れ落ちる
強度を失った鉄はぐにゃりと曲がる。ぐにゃりと曲がると家は一気に崩れ落ちてしまうなどと言われています。せめて火災が発生したときに逃げる時間が確保できるぐらいには耐えて欲しいですよね。
ハウスメーカーの営業さんが、『消防士は鉄骨の家に入りたがらない』、なんて言うのはこの点からなのでしょう。ただし、実際に消防士が言っていたことではないため、真に受けず営業トークだと思って聞いておきましょう。
木造と鉄骨の耐火を考察
いろいろ調査した結果について考察を書いていきます。
すべての比較において、材料ベースの話である
調べて行って木が火に強く鉄が火に弱いといった話をよく見かけます。そもそもこの話って材料ベースで話していて良いのでしょうか?
火事が起きた時、実際に火にさらされるのって家の中の柱である木材や鉄骨ではないと思うのです。放火やもらい火、家の中であればボヤ、家財に火がついたとか、そんな感じでしょう。
それなのに木が燃えにくいとかの話ばかりされても見当違いな気がします。
実際には内部の構造より、壁などに火があたる
内部構造に火が届くより先に、壁から燃えていくはずです。外壁や窓なんかは耐火性能が高いものが多く、もらい火にはある程度強くできている家が多いです。
家の中の火事はどうでしょうか?家財なんかはまっさきに燃えそうです。家でタバコを吸う人は要注意で、過去に『燃やし手』というニコ生主がいました。火事って怖い、改めてそう思いました。(忙しい人は5:00あたりから見てください)
家の中の構造に火が届いてる時点で…
結局のところ、家の中の構造部分に火が到達しているってアウトですよね。それって壁が焼け落ちている状態ではないでしょうか。
そこまで来るとほぼボヤレベルではなく全焼に近い状況であり、素材が火に強かろうが弱かろうがもう住めないでしょう。
あくまでも火に強いかどうかは、火事が起きた時に逃げる時間を確保できるかどうかであって、やっぱり火事を起こさない、もらわないように気をつけるのが一番です。
まとめ
以上のことをまとめますと下記のとおりです。
- 木造は火に強く燃えるまでに時間がかかるため逃げる時間が確保できる。
- 鉄はある一定の温度を超えると著しく耐久性が落ちて一気に崩れ落ちる可能性がある。
- 燃える、燃えない、強い、弱い、ではなく、火災発生時に逃げる時間が確保できるかが大切。
- 家の内部構造に火が届いているって時点でアウト
火に強い家といっても、本気で火事になったら継続して住むことはむずかしいのかもしれません。耐火性能っていうのは燃えない性能というよりは、燃えるまでに時間を稼ぐための性能のように思います。
地震と同じように、燃えない家を探すのではなく、火をもらわないような場所に家を建てたり、家の中であまり火を使わないようにするといった運用で回避するほうが良さそうです。
みなさんの家作りのお役に立てるとうれしいです。